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「脱炭素」勉強ブログ Vol.9

2022/03/30

省エネプラスがお届けする「脱炭素」情報
                        第9回 「脱炭素」が与える中小企業への影響は?②                           

サプライチェーン全体で脱炭素に取り組む「Scope」という仕組みは、遅かれ早かれ我々中小企業にも脱炭素への積極的な取り組みを求めてきます。
現在、世界で起きている様々な事象は、いっとき省CO2化への道と逆行するかのように動くかもしれません。ですが、益々高騰すると予測されるエネルギーコストへの対応や
地球温暖化を抑制する挑戦がなくなることはありません。むしろ何か一つに依存したエネルギー調達方法からの脱却は、より重要な視点になってくるかと思います。
では、脱炭素について、どこから手をつけ、何から取り組んでいけばよいのか?今回はその手順とツールをご紹介していきたいと思います。

 中小企業は、何をすればよいのか? 

基本的な手順で取り組む

何かに取り組むにあたっての手順は基本に忠実に行うのがベターです。何を行うにしても先ずは現状把握することがファーストステップとなります。
現状を数値化し、どこから脱炭素化を進めていくのが良いか計画を立てていきましょう。


ステップ1. 自社の排出量の見える化
現在の自社の事業活動におけるCO2排出量を測定し、開示する。全てはここから始まります。ではどうやって測定すればいいの?と思いますが、
現在では様々なサービスが提供されていますのでそれらを活用していきましょう。自社が置かれている立場によって、
Scopeのどのレベルまで求められていくかを考えサービスを選択しましょう。
ここで大事になるのはできるだけ正確な数値で把握することです。タダでやってくれるところはないか?と考えてはいけません!適切なコストをかけ、
適切なサービスを受け、ちゃんと開示できるようなデータを集計していきましょう。

【なぜ?】
・自社のCO2排出量を把握することで、どこで無駄なエネルギーを使っているか分析できるようになる(見える化
・削減対策は、すぐに投資回収をできる様な取り組みから、削減コストの高い取り組みまで様々。見える化によってどの対策から取り組むべきか、判断が可能になる。
・自社の排出量を開示することで、費用対効果の高い削減対策の提案を受けたり、削減対策と合せて気候変動対策に積極的に取り組む企業として、
金融機関から有利な条件で融資等を受けられる可能性がある

【どうやって?】
おすすめサービスはこちら
▶ゼロボード
 scope1~scope3までのCO2排出量を見える化するサービス。
 【scope1:例】
  ガソリンの使用   ○○kℓ  × 排出原単位 = CO2排出量
  セメントの製造     ○○t  × 排出原単位 = CO2排出量
  といったように自社での活動量×排出原単位でCO2排出量に換算、scope3も「購入した製品・サービス」「廃棄物」 「輸送」「雇用者の通勤」など、15のカテゴリーで算出します。
  弊社でも4月から導入し、運用する事になっております。
  使用感など気になる方は是非、お問い合わせください。
  

​​​​​​ステップ2. 自社の排出量の削減計画
自社の事業活動におけるCO2排出量が測定できたら、削減方法を特定し、対策を打っていきます。経営改善の追求と一体で行うのであれば、省エネ技術を導入していくのが良いでしょう。
また、脱炭素時代の優位性を求めるのであれば思い切ってエネルギー転換も視野に入れて中長期的に計画を立てる事が大切になります。

STEP1
長期的なエネルギー転換の検討
    ・電化の可能性を探る
                 (例:ボイラーからヒートポンプ、ガソリン車からEVへの転換)
                 ・バイオマスの可能性を探る
                 (例:バイオマスボイラーへの転換)
                 ・水素の利用可能性を探る
                 
(例:FCVや水素バーナーへの転換)
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STEP2
短中期的な省エネ対策の洗い出し   
・運用改善
                 
(例:空調機フィルター清掃、冷暖房設定温度の調整、消灯)
                 ・部分更新・機能追加
                 
(例:断熱・遮熱性能の向上、空調・照明制御機能の追加)
                 ・設備導入
                 
(高効率コンプレッサー・給湯器の導入、LEDの導入)
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STEP3
再エネ電気の調達手段の検討     
・小売電気業者との契約
                 (例:再エネ電気メニュー)
                 ・自家発電・自家消費
                 (例:太陽光発電・第三者所有モデル含む)
                 ・再エネ電力証書の購入
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STEP4
削減対策の精査と計画の取り纏め   
STEP1~3の検討結果を取りまとめ、洗い出した各削減対策について以下の3点を定量的に整理
                    ①想定される温室効果ガス削減量(t-CO2/年)
                    ②想定される投資金額(円)
                    ③想定される光熱費・燃料費の増減(円/年)
                            ▼
                   各削減対策の実施時期を決めたうえで、各年の排出削減量とキャッシュフローへの影響と共に、
                   削減計画をロードマップに落とし込む
                            ▼
                   以下の観点から削減計画を精査
                    ①洗い出した削減対策によって目標達成は可能か
                    ②排出削減に係る追加的な費用支出を許容できるか
                    ③削減対策の実現に向けた詳細検討をどのように進めるか


【色々な情報を集めよう】
例えば、環境省が発行している【中小規模事業者のための脱炭素経営ハンドブック】などに、脱炭素経営のメリットや取り組み事例、
削減計画策定に向けた検討手順などが記載されていたりします。
国の方針に予算が付き、国策として補助金なども含めて世の中に広がっていく、それが時流であると以前にも解説しましたが、
そういった情報を積極的に集めるようにしていきましょう。

おすすめ補助金はこちら
▶環境省 脱炭素関連補助事業一覧



CO2見える化ツール「ゼロボード」、「補助金」に関してご質問等ございましたらお問い合わせください。
お問い合わせはこちら


 中小企業の取組みが、カギを握る 
中小企業も、取引先の大企業のサプライチェーン全体の脱炭素化に貢献する再エネ・省エネにいち早く取り組むことが競争力となっていく。
日本の企業数の99.7%が中小企業・小規模事業者です。まさしく中小企業の取組みがカギを握っているといっても過言ではありません。


序文でも触れましたが、1ヵ月前では考えられなかった石炭火力発電の継続が欧州各地で検討されたり、化石燃料市場の不安定さの加速、
ロシアによるウクライナ侵攻を引き金とするエネルギー政策の急変が世界中で起きています。
エネルギーを使わない産業はないので、実に幅広い影響が確実に発生していきます。
この「脱炭素化」への取り組みは、気候変動問題や地球温暖化対策という文脈だけでなく、事業継続するためのリスクヘッジの一つとしても
今後より重要になってくるととらえておいた方が良いでしょう。

 次回:「脱炭素」の取組みメニュー を予定。